高性能位置測位 GNSS端末が GNSS端末が 生まれるまで

PROJECT STORY 01

高性能位置測位GNSS端末が生まれるまで 高性能位置測位GNSS端末 が生まれるまで

「高性能位置測位GNSS端末」とは、センチメートル単位での高精度位置情報を秒単位で追跡でき、ネットワークを通じてその情報を提供できるシステムを指します。衛星から送られる「搬送波」と呼ばれる電気信号の波を端末で受信し、その波の数を計測することで、センチメートル単位での測位が可能となります。高い精度を生かして、「レーシングカーによる走行位置トレースの実証」や「建機の安全管理(衝突防止)」など、非常に細かい位置推移が必要な場面で活用されています。

「高性能位置測位GNSS端末」の設計・プログラミングを担当するI.T.さんに、今回のプロジェクトが始まったきっかけや開発中に大変だったことについて話を聞きました。

高性能位置測位GNSS端末が生まれるまで

MEMBER

新領域の重要な事業の一つとして伸ばしていきたい

新領域の重要な事業の1つとして
伸ばしていきたい

EPISODE 01

―「高性能位置測位GNSS端末」が開発されたきっかけを教えてください。

  • ニーズが高まってきたことと、現実的な面では製品価格を抑えられるようになってきたことです。このプロジェクトの前からGNSS端末の開発を進めていて、今後事業として伸ばしていきたい領域でした。

  • 位置情報を利用した組み込みシステムのニーズは年々高まっています。私たちの生活の身近なところで言えば、カーシェアやシェアサイクリングにも「位置情報×組み込み」の技術が使われています。

  • シェアサイクリングのケースで考えると、貸出しされている自転車に位置情報を検知するセンサーが内蔵されています。例えば自転車を返却する場合に、そのセンサーから現在の位置情報がサーバーに送られます。返却場所として問題なければそこで返却処理(利用時間の算出、返却の処理、利用情報の転送など)が実行されます。

  • ニーズの高まりに加えて、製品価格を抑えられるようになったことも大きいと思います。高性能なGNSS端末の開発に必要だった「二周波RTK対応GNSSモジュール」が高価だったこともあり、製品価格もそれに合わせた価格にせざるを得ませんでした。しかし、開発当時は安価なタイプがリリースされたことで、製造費も抑えられるようになりました。

量産に向けて多様なカスタマイズの
要望に対応する

EPISODE 02

―プロジェクトはどのように進行していきましたか?

  • 今回のプロジェクトは、自社で開発したGNSS端末をベースとして派生開発を継続し、量産に発展させることをゴールとしています。2020年からプロジェクトが始動し、2022年12月現在も派生開発を継続しており、まだ進行中のプロジェクトです。

  • プロジェクトの対応フローは、「基本設計→詳細設計→コーディング→単体テスト→総合テスト」。基本的には、私ともう一人のメンバーで仕様設計以外の工程を対応しています。

量産に向けて多様なカスタマイズの要望に対応する
  • プロジェクトでの私の主な役割は、顧客の要望に応じてGNSS端末のカスタマイズの設計・実装の担当です。GNSS端末の活用を通じて実現したいことをヒアリングし、どのようなカスタマイズが必要なのかを検討します。ただし、要望を全て盛り込めるわけではありません。実現性の観点で検討し、課題があって実現が難しい場合は、改善案を出し、実現できることが確認できてから開発に取り組みます。

  • プロジェクト体制で見ると、私は設計、プログラミングを担当しています。顧客からの要望の実現性が低かったり、開発中に作業のトラブルがあったりした場合、PM(プロジェクトマネージャー)や同じチームのメンバーに相談し、プロジェクトを前に進めていきました。

量産に向けて多様なカスタマイズの要望に対応する
マイクロ秒単位での処理機能の構築に苦戦

マイクロ秒単位での
処理機能の構築に苦戦

EPISODE 03

―プロジェクトを進める上でどんなことに苦労しましたか?

  • あるお客様から、「特定の処理を数マイクロ秒単位で実行したい」という要望をいただいたときは苦労しました。処理速度を速めることにフォーカスすれば実現可能でしたが、それによってシステム全体の負荷が高まります。システムの負荷が高まると、全体的に動作が遅くなってしまったり、システムが停止したりする可能性もあります。

  • 今回の要望を実現する上で、外してはいけないポイントは、特定の処理にかかる速度を高めつつ、ユーザーの使用感に悪影響が出ないようにすることでした。処理スピードと使用感の安定性の両立がとても難しかったです。

常に問題を共有し、共に解決していく
強いプロジェクトチームに

EPISODE 04

―先程挙がった苦労はどのように解決しましたか?

  • 処理速度を速めることによるシステムへの負担の増加は避けられない、という前提でチームのメンバーと話し合って、アプローチを決めました。今回のケースでは、要望を実現するために、既存システムにあった元々の負担を軽減する対応を取りました。具体的には、処理が重い箇所を洗い出して削除できないかをそれぞれ検討。全体を通して無駄な処理がないかもチェックしていきました。その結果、無事顧客の要望を実現し、システムの安定性も両立することができました。

  • 作業に関する個別の問題については、自分で過去の事例や参考資料にあたり、乗り越えていくことが多いです。一方で、今回のようにシステム全体の影響を考慮しなければならないケースではチームメンバーと助け合いながら、問題を乗り越えられる関係性や仕組みができているのでありがたいです。

常に問題を共有し、共に解決していく強いプロジェクトチームに
  • 今回の経験では、プログラムに対する視野が広げられて良かったです。プログラムの書き方次第で処理速度が変わることを理解したので、今後の案件でも生かせそうです。体感として、最近は特に指定時間内での処理が求められる開発が増えてきたように思います。そういった需要に応えるためにも、従来のプログラムの書き方に固執せず、経験を通じて新しい知見を蓄積していきたいです。

常に問題を共有し、共に解決していく強いプロジェクトチームに

マイクロテクノロジーを
目指す方へのメッセージ

MESSAGE

―マイクロテクノロジーに興味を持った方に向けてメッセージをお願いします

  • 基本的に新卒で入社される場合は、開発経験がなくても業務を通じてスキルを身に付けられるので、数年で活躍できるようになります。一つひとつの開発に物語があるので、それを一緒に楽しめる方だと、より活躍いただけるのではないかと思っています。

  • 経験者の場合も、担当する業務によって求めるスキルやレベルは異なります。例えば、今回のGNSS測位技術については、私自身も勉強中で、特に測位技術に興味をお持ちの方や一緒に勉強したいという気持ちがある方は大歓迎です。

マイクロテクノロジーを目指す方へのメッセージ